森博嗣『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』

森博嗣 S&Mシリーズ

こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『すべてがFになる』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『すべてがFになる』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『すべてがFになる』はS&Mシリーズの第1作目です。

登場人物

  • 犀川創平・・・・・・・・N大学工学部建築学科・助教授
  • 西之園萌絵・・・・・・・N大学工学部建築学科・1年生
  • 国枝桃子・・・・・・・・N大学工学部建築学科・助手
  • 浜中深志・・・・・・・・N大学工学部建築学科・大学院生
  • 儀同世津子・・・・・・・雑誌記者
  • 真賀田左千郎・・・・・・工学博士
  • 真賀田美千代・・・・・・言語学者・左千郎の妻
  • 真賀田四季・・・・・・・天才プログラマ
  • 栗本其志雄・・・・・・・四季の同居人
  • 佐々木栖麻・・・・・・・四季の同居人
  • 真賀田道流・・・・・・・四季の同居人
  • 真賀田未来・・・・・・・四季の妹
  • 新藤清二・・・・・・・・真賀田研究所・所長、左千郎の弟
  • 山根幸宏・・・・・・・・真賀田研究所・福所長
  • 水谷主税・・・・・・・・主任プログラマ
  • 島田文子・・・・・・・・プログラマ
  • デボラ・・・・・・・・・研究所の管理システム

あらすじ

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。

彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。

偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と学生・西之園萌絵が、

この不可思議な密室殺人に挑む。

ミステリィの世界を変えた記念碑的作品。

感想

やはり何度読んでも鳥肌が立ちます。。

森博嗣さんのデビュー作でもある本作は、原点にして頂点であると評されていますが、本作を読めば、それも納得できるでしょう。

なんと言っても天才プログラマである真賀田四季の圧倒的な存在感。

一般的に普及されている様々な固定概念を覆す彼女の思考は、私たちのような凡人には一見受け入れ難いものであるが、よくよく考えると正しいように思える。

彼女は作中でこのように述べていた、

「私には正しい、貴方には正しくない……、いずれにしても、正しい、なんて概念はその程度のことです」

ある事象についての認識は、人それぞれであり、また他者に干渉するものではないということでしょう。

7年前から綿密に練られた研究所脱出計画、彼女にとって犀川と西之園のアプローチは想定外のことであったが結果的には脱出を成功させています。

その計画を簡単に説明すると、研究所独自のOSであるレッドマジックに組み込まれていたトロージャンプログラム(トロイの木馬)によるものでした。

その中にある時間をカウントする変数が4桁の16進法で表されており、タイトルである「すべてがFになる」とは、その変数がFFFFつまり、65535になることを表しています。

すべてがFになった時点でレッドマジックが暴走、研究所内の時間を1分戻すことによって監視カメラの映像が1分だけ抜け落ち、脱出するという計画でした。

他にも様々な要素が組み込まれていますが、彼女がそれを7年前から計画していたという事実には驚きを隠せませんね。

「数字の中で7だけが孤独、BとDもそうね」

と冒頭で行っていましたが、読み終えた後だと伏線になっていたことが分かります。

タイトルの英訳になっている「THE PERFECT INSIDER」とは真賀田四季の娘のことでしょう。

密室に入った時点で真賀田四季の体の中にはもう1人いたということです。

(男の子だったらどうしたんだろう、、、)

かなり特殊な密室の入り方です、その手があったかと思いますね。

真賀田四季のトリックだけでなく、主人公である、犀川と西之園の会話もなかなかおもしろいです。

「先生……、現実ってなんでしょう?」

「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ、普段そんなものは存在しない」

なかなか哲学が聞いていて深いですね。

このような思考や、シャレを言ってくれる犀川がかなり好きです。

西之園と犀川、いいコンビですね。

また、犀川も真賀田四季と同じように、自分の中に複数の人格を持つ者です。

成長するにつれて、液体のように混ざり合うはずのそれぞれが、それを望まず、個体として自分の中に存在し続ける。

犀川が密室のトリックを解く瞬間も犀川の中の人格が計算をしました。

それは、真賀田四季と犀川の天才の共通性ですね。

本作品を読んでいると、自分がいかに凡才であるかを感じてしまいます。

とにかく天才の描き方がうまいですね。

天才を書く森博嗣さんもやはり天才なのでしょう。

しかも刊行時期が1990年代にも関わらずVRの技術が登場しているあたり、目の付け所がすごいです。(ボクなんかが言うのは、おこがましいにもほどがあるのですが、、)

今になってやっと世間に普及している技術を20年も前に書くあたり、ハンパないですね。

ボクはこの作品に出会えて、とても運が良かったと思います。

1番最初にこの本を読んでそれからは、次々と森博嗣さんの本を買う日々です。

来世でも読みたいと思える本。

まだまだ本作の魅力を伝えたい旨はありますが、長すぎてしまうのでここらへんで終わります。

死を恐れている人はいません。死にいたる生を恐れているのよ。

苦しまないで死ねるのなら、誰も死を恐れないでしょう?

そもそも、生きていることの方が異常なのです。死んていることが本来で、生きているというのは、そうですね……、機械が故障しているような状態。

生命なんてバグですものね。ニキビのようなもの……。

病気なのです。生きていることは、それ自体が、病気なのです。病気が治ったときに、生命も消えるのです。そう、たとえばね、先生。

眠りたいって思うでしょう?眠ることの心地よさって不思議です。何故、私たちの意識は、意識を失うことを望むのでしょう?意識がなくなることが正常だからではないですか?眠っているのを起こされるのって不快ではありませんか?覚醒は本能的に不快なものです。誕生だって同じこと……。生まれてくる赤ちゃんって、だから、みんな泣いているのですね。生まれたくなかったって……。

真賀田四季

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