森博嗣『ペガサスの解は虚栄か? Did Pegasus Answer the Vanity?』

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こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『ペガサスの解は虚栄か?』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『ペガサスの解は虚栄か?』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『ペガサスの解は虚栄か?』はWシリーズの第7作目です。

登場人物

  • ハギリ・・・・・・研究者
  • ウグイ・・・・・・情報局員
  • アネバネ・・・・・情報局員
  • キガタ・・・・・・情報局員
  • ケルネィ・・・・・資産家
  • ラビーナ・・・・・その長女
  • ツェリン・・・・・研究者
  • ラジャン・・・・・その息子
  • デボラ・・・・・・トランスファ
  • アミラ・・・・・・人工知能
  • オーロラ・・・・・人工知能
  • ペガサス・・・・・人工知能
  • マガタ・・・・・・二世紀前の天才科学者、ウォーカロンの生みの親

あらすじ

クローン。

国際法により禁じられている無性生殖による複製人間。

研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。

彼らを探してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く資産家と出会う。

知性が喝破する虚構の物語。

内容

第1章 実験値 Experimental value

サリノ、アネバネと共にトウキョー、コーキョ地下にある生命科学研究所へ向かう。

人工知能ペガサスに会う。

サリノ、アネバネと共にインドにあるケルネィの屋敷へ向かう。

第2章 理論値 Theoretical value

ケルネィの屋敷で開かれたパーティに出席。

ケルネィから人工細胞を取り入れてから子供ができたことを告げられる。

翌日、庭園内で地下への隠し通路を発見。

地下の居住スペースで、病気で衰弱している本物のラビーナを発見。

さらに、ケルネィ氏の第8夫人、第3子を発見。

屋敷のラビーナ(ロボット)に会いに行くも、襲われるが、なんとか排除。

第3章 現実値 Practical value

日本に帰る。

ツェリンがナクチュの遺跡のデータをウィザードリィの息子に漏洩していたことが発覚。

第4章 仮言値 Hypothetical value

ウグイと外食する。

ウグイと共にインド、ケルネィの屋敷へ行く。

ラジャンが屋敷内で火炎放射器を用いて暴走。

ツェリンが炎に呑まれ、ラジャンと共に焼死。

地下室でケルネィと会う。

ラビーナからラジャンについて聞く。

メモ

  • コーキョには地下2千メートルに核廃棄物が埋葬されている
  • 情報局員にウォーカロンを採用したのはサリノが初
  • イシカワではウォーカロン内にカプセルを仕込み、擬似的に生殖する研究をしていた
  • パリの博覧会で逃亡したウォーカロンはその種である可能性(ペガサスの推測)
  • ナクチュでは意識はないが2体の蘇生に成功している
  • 1人目は男性、15歳程、ナクチュ創始者の子孫、カンマパの血族、窒息死、黒人の遺伝子
  • 2人目は女性、20歳程、心臓疾患の可能性
  • ペガサスは数年前、人間の数を最小限にするべきと主張
  • ツェリンはケルネィとの子供を産んでいる
  • ツェリンは第3夫人
  • ホワイトから正式にナクチュの細胞の提供を依頼
  • ケルネィとの子供を産んだ第8夫人は65パーセントの確率でウォーカロンであると測定
  • 彼女自身も自分がウォーカロンであることを知らなかった
  • 暴走したウォーカロンはケルネィの屋敷で働いていたスタッフ
  • 暴走したウォーカロン2名と地下にいたウォーカロン4名は失踪した者達
  • ラビーナは地下から屋敷のロボットをコントロールしていた
  • ロボットをウォーカロンと誤認させるため、暴走を装った可能性
  • 第3子は遺伝子解析をした結果、ケルネィ氏の子孫であることを示す
  • 第8夫人は生殖可能なウォーカロンではない可能性
  • 博覧会から逃走したのはウォーカロンを装ったクローン(人間)である
  • 第8夫人は人間であり、第3子の母親である(ペガサスと矛盾)
  • 第3子の父親はラジャンである
  • 1連の騒動を起こしたのはラジャンである
  • ケルネィが識別装置を買ったのは第8夫人を測定するため
  • ラビーナがケルネィを地下室に呼んだため、ケルネィは助かった

感想

正直、冒頭にあるハギリとペガサスの会話はかなり難しかったです。

簡単に言えば、ペガサスは無機から生命を作り出す研究をしており、

その際に観測されるジャンプはハギリの研究によるものと類似しているとのことでした。

当たり前のようにジャンプと呼んでるけど具体的にはなんのことなんでしょう?

なんだか大学3年でいきなり授業が難しくなり、絶望した感覚と類似しています。

しかし、ボクのように冒頭で絶望しても、読み進めることはできるので安心してください。

擬似妊娠の疑いがあるウォーカロンの調査のため、インドへ行くということだけ覚えていれば大丈夫だと思います。

しかも、結局ペガサスの言っていたことは妄想だったとのことです。

人工知能が感情に左右されてしまったということですね。

なんだか清々した気分ですね笑

オーロラのことを不完全と言っていたので嫌な奴だなと思ってたんです笑

人工知能が相互作用しながら学習していく姿勢はまさに人間のそれと同じですね。

本作ではウグイが護衛任務から外れて、その代わりにサリノ(キガタ)が加わりました。

1つ気になったのは、本作ではサリノのことを「キガタ」と呼んでいました。

『デボラ、眠っているのか?』では「サリノ」と呼んでいましたね。

それもあって、ボクは「サリノ」と呼んでいますが、なぜ呼び方が変わったのでしょうか?

例えば、ウグイ・マーガリィはラストネームである「ウグイ」と呼んでいますね。

おそらくですが情報局員はラストネームで呼ぶことになっているのだと思います。

そんな理由で、本作から情報局員となったサリノは「キガタ」と呼ばれているのでしょう。

新米であるサリノを見ているとなんだか応援したくなりますね。

まだ若いのに難しい任務を与えられて大変だったとは思いますがよくできていたと思います。

テニスしてウグイに怒られたのはかわいそう笑

ハギリがちょくちょくウグイとサリノを比べてしまう描写がありましたね。

自然とウグイのことを意識してしまうほどの思いなんでしょうね。

ボクもウグイの登場が少なくなるのは悲しいと思っていましたが、後半ではガッツリ登場してましたね。

しかも、なんだかいつもより濃い内容でした。

仕事だとクールなウグイがプライベートでは思いっきり人間っぽくて安心しました笑

これがプロってやつですね。

しかしなんと言ってもツェリン博士ですね。

まさか彼女が亡くなるとは思っていませんでした。

このレベルの主要キャラが亡くなるのは森博嗣さんの作品の中でも稀だと思います。

ボク達の世界では親が子を思う気持ちは当たり前のように認知されていることでありますが、作中の世界ではそうではないことが強調されていました。

ボクも子供はいないのでその気持ちは完全には理解できませんが、やはりそういうものなんでしょうね。

死についても同様ですね。

人が死なない世界では死に対する思いや、恐怖が失われています。

ツェリンの死によってそれを認識する描写は圧巻でした。

ああ、これが、人が死ぬということなのか、と思った。

もう二度と、彼女と話すことはできない。

もう二度と、彼女の笑顔を見ることができない。

否、そんなことはない。過去の彼女の履歴をコンピュータに入れれば、話すことも、笑顔を見ることもできる。彼女の過去はすべて残っているのだ。

失われたのは、ツェリンの未来だ。

これから、彼女がボクに与えただろう影響がなくなった、ということなのだ。

僕は、つまり、僕の未来の一部を失ったに等しい。その損失にショックを受けているのだ。

明日の一部がなくなるようなものか。

それは、まるで、日食のように、かけた太陽。しかも、ずっと欠けたままなのだ。

ハギリ・ソーイ

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