森博嗣『冷たい密室と博士たち DOCTORS IN ISOLATED ROOM』

森博嗣 S&Mシリーズ

こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『冷たい密室と博士たち』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『冷たい密室と博士たち』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『冷たい密室と博士たち』はS&Mシリーズの第2作目です。

登場人物

  • 犀川創平・・・・・・・・建築学科助教授
  • 西之園萌絵・・・・・・・建築学科2年生
  • 国枝桃子・・・・・・・・建築学科助手
  • 喜多北斗・・・・・・・・助教授
  • 木熊恭介・・・・・・・・教授
  • 市ノ瀬里佳・・・・・・・助手
  • 丹羽健二郎・・・・・・・大学院生D2
  • 服部珠子・・・・・・・・大学院生M2
  • 増田潤・・・・・・・・・2年前に失踪した学生

あらすじ

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。

だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。

被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?

明かされる驚愕の真相そしてトリック。

ますます研ぎ澄まされるシリーズ第2弾。

感想

本作品の舞台は前作である「すべてがFになる」から1年後の夏です。

タイトルにある通り、低温の密室という特殊な条件下で殺人が行われます。

サブタイトルの英語、そのまま訳せば、”密室中の博士たち”となりますが、

密室という言葉を”locked room”ではなく、”isolated room”と表しているあたり、

おそらく、”isolated”と冷たいという意味の”ice”をかけているのでしょう。

それを考慮してサブタイトルを訳すと、タイトルと一致しますね。

本作は犀川の会議に対する愚痴が長々と述べられるところから始まります。

これがなかなかおもしろい笑

ボクも先日、大学でTA(Teaching Assistant)の会議があり、人生で初めて会議というものに参加したのですが、10分で十分な内容のものが1時間もかかり、かなりキツかった。

ということもあり、犀川の愚痴をこぼす気持ちも少し分かる。

本作からは犀川の親友である喜多北斗が登場します。

前作の経験からして、彼が犯人であることもありえるな、、と思いながら本作を読み進めましたが、まったくの検討違いでした。

出張のたびに空港まで見送りに行くあたり、相当の仲ですね。

犀川でもそんな友達がいることに驚き笑

喜多が犀川のことを、「俺よりも、もっと独身」と表していたり、

犀川が喜多の散らかった部屋を見て、(こりゃ、早く結婚した方がいいな……)と心配したり、なんだか微笑ましかった笑

お互いに自分のことよりも相手のことを考えたり、ライバル視しているあたり、

やっぱり仲いいんだな。

犯行に関してはとにかく動機が悲しかった。

丹羽という男によって純粋に学問を志す者たちが汚されていのがとにかく悲しいです。

この男さえいなければ!と思ってしまうような内容でした。

優秀な頭脳をフル稼働させて丹羽を殺す計画を練るあたり、恐ろしいという言葉以外浮かびません。

それもあり、やはりトリックはかなり複雑、たくさんの糸が綿密に練られているようなイメージ。

しかし、前作とは異なり、トリックは工学的ではないため、一般的に分かりやすかったと思います。(人の移動が少し複雑かも)

そして娘を庇うため、自死を選んだ木熊教授を想像すると涙が出そうになります。

数学がなんの役に立つのか、というよくある疑問に対する犀川の解答が秀逸でした。

何故、役に立たなくちゃあいけないのかって、きき返す。

だいたい、役に立たないものの方が楽しいじゃないか。

音楽だって、芸術だって、なんの役にも立たない。最も役に立たないということが、数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です。

人間だけが役に立たないことを考えるんですからね。

犀川創平

ボクは小説の終わり方にこだわる人間なのですが、本作の終わり方、すごい良かった。

「内緒と沈黙は、どこが違う?」犀川は独り言を呟く。

「内緒は、人間にしかできない」

コメント

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