森博嗣『四季 春 Green Spring』

森博嗣 四季シリーズ

こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『四季 春』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『四季 春』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『四季 春』は四季シリーズの第1作目です。

あらすじ

天才科学者・真賀田四季。

彼女は五歳になるまでに語学を、六歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。

すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。

あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。

圧倒的人気の四部作、第一弾。

感想

四季といえば、ヴィヴァルディか森博嗣ですよね。

本作では真賀田四季の幼少期から一流エンジニアになるまでが書かれています。

おそらく四季の人生を春、夏、秋、冬に分けているのでしょう。

やはり子供といえど天才、幼少期からその特性は表れていますね。

本作で注意するべきなのは栗本其志雄、真賀田其志雄、透明人間の3つの人格です。

栗本其志雄とは

四季が複数の人格を有しているのは『すべてがFになる』を読んでいる方にとって周知であると思います。

「栗本其志雄」とは四季が有している人格の1人です。

本作は栗本其志雄からの視点で書かれていることが多く、栗本其志雄は四季の話し相手や、アドバイザのような存在と言えます。

また、四季から身体コントロールを譲渡されることもあり、四季が価値がなく時間の無駄と感じるようなことを任されている描写もありました。

なぜ四季は栗本其志雄という人格を生み出したのか?という点がキーポイントになります。

「栗本」という姓は四季が彼に与えたものです。

それは四季の兄である「真賀田其志雄」の実の母であり、四季の母親の姉である「百合子・クリムト」の姓に由来しています。

四季は数年前に父が母親ではない別の女性と親しくしているところを目撃しています。

その女性こそが百合子・クリムトであり、四季は百合子に向けて嫌悪感を抱くと同時に、その記憶を自ら隠蔽することを試みます。

しかしいくら天才といえど幼い身なのでうまく処理できなかったのでしょう。

そして四季は無自覚に新たな人格を作り出し、その人格に百合子・クリムトと彼の息子の名前から無意識の「栗本其志雄」という名をつけたのではないでしょうか。

真賀田其志雄と透明人間

真賀田其志雄は四季の実の兄であり、作中にあるようにふとした衝動で人を殺してしまうような人格の持ち主です。

それと同時に大手企業のコンサルタントを務めるなど、四季と似たように優秀な頭脳を有しています。

しかし冒頭では彼の人格は表れず、透明人間の人格が彼の肉体の表面となっていました。

四季はそのことに気づいていましたが、彼女の中の人格である栗本其志雄には知られないようにしていました。

栗本其志雄に彼のことを知られてしまっては、四季が百合子・クリムトのことを思い出してしまうため、四季が本能的に隠したのだと思います。

さて、なぜ真賀田其志雄の中に透明人間という人格が生まれたのでしょうか。

真賀田其志雄は以前から母親と共に死ぬことを望んでいたのでないかと思います。

そして自由を奪っている生から解放されようとしていたのではないでしょうか。

しかし、彼はそれが本当に正しいのかという疑問を抱き、不安定な状態になっていました。

その不安定さ故に、「透明人間」という人格を生み出し、真賀田其志雄の人格は裏側に隠されてしまったのではないかと思います。

母親と再開した真賀田其志雄の心情が本作に綴られてました。

こんなにも。

僕は、僕という人間は、脆かった。

それが、嬉しい。

なんだ、普通の人間じゃないか。

誰だ、僕が特別だなんて吹き込んだ奴は。

子供に戻りたかった。

もう一度、子供になって、母に甘えたい。

真賀田其志雄
なぜ栗本其志雄は消えてしまったのか

上に書いてあるように、栗本其志雄は四季が百合子・クリムトの記憶を隠蔽するために作られた存在です。

しかし、四季は百合子・クリムトのことを完全に思い出し、

栗本其志雄自身も自分の存在を知ることを望み、彼の役目を終えてしまいました。

そして、真賀田其志雄の死と同時に、彼の人格も消えてしまったというわけです。

この世は、全部、なにもかも、四季が思い描いている物語。

何故、彼女は僕を生み出したのか。

四季は、わかっているだろうか。

きっと、僕には教えてもらえない。

人はみんな、知りたくないんだ。自分のことを。自分の存在の意味を。

でも、僕は……、そんないい加減な立場はご免だ。

栗本其志雄
他シリーズとの関わり

作中で四季が瀬在丸紅子と対面する描写があります。

これはVシリーズ『赤緑黒白』の終盤に描かれていた場面ですね。

本作では四季(栗本其志雄)視点で描かれていました。

そして四季が瀬在丸紅子に興味を抱いていることも描写されていました。

瀬在丸紅子も四季と同様に複数の人格を有しており、森博嗣さんの作品の中では四季に次ぐレベルで天才です。

Vシリーズといえば各務亜樹良も登場していましたね。

ボクが森博嗣さんの作品の中で1番好きなキャラクターです。

彼女が所属している組織が四季に投資をする関係で、四季の補佐役のようなポジションに位置しています。

彼女が作中で言ったボスとは、クロード・ボナパルト氏のことでしょう。

(フランスにいると言ってましたしね)

四季がイヤホンを引き抜いて各務亜樹良を起こすシーンが個人的にはお気に入りですね。

各務亜樹良でも寝るんだ〜と思いました。

エピローグでは西之園恭輔、萌絵親子が登場しました。

なんだかんだ生きている西之園恭輔が作中に登場するのは初めてではありませんか?

ちょっと感動しました。

やはり他シリーズとの関連が示されるのっていいですね〜

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