森博嗣『四季 秋 White Autumn』

森博嗣 四季シリーズ

こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『四季 秋』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『四季 秋』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『四季 秋』は四季シリーズの第3作目です。

あらすじ

妃真加島で再び起きた殺人事件。

その後、姿を消した四季を人は様々に噂した。

現場に居合わせた西之園萌絵は、不在の四季の存在を、意識せずにはいられなかった……。

犀川助教授が読み解いたメッセージに導かれ、二人は今一度、彼女との接触を試みる。

四季の知られざる一面を鮮やかに描く、感動の第三弾。

感想

本作は西之園が大学院に進学してから、博士課程に進学するまでの出来事であり、

Fから5年後、パンから半年後、捩れ屋敷からは100日も経ってないです。

シリーズを超えて様々なキャラが登場しています。

森博嗣さんの作品を読んでいる方にとっては、こんな豪華な作品他に無い!と思わせるほどです。

まず1番に、西之園大人になったなぁ。

S&Mシリーズのときは、なんだか子供っぽくて、自己中のわがままお嬢様といった感じで、たまに読んでいてイラッとする場面もあったれど、

本作ではそれが一転、大学院に進学し、研究に没頭していく中で研究者に染まっていくような、簡単にいえば比べ物にならないくらい落ち着いている。

たまに犀川にタメ語使ってたし。

本人も言っていたけど、こちらが本来の西之園なのでしょう。

S&Mシリーズの好奇心旺盛で活発な女の子も良かったけど、こっちの方がボクは好きですね。

さて、本作を読み進める上で独占、許し、といったキーワードが出てきました。

独占

本作では西之園が犀川にアプローチする真賀田四季に対して嫉妬している描写が多くありました。

その表現がとてもリアルで個人的に気に入ってます。

握り締めた手が、震えているようだった。

犀川を睨んだまま、唇を噛む。

思いついた言葉は、悔しい、憎らしい、そして恨めしい。

頭に血が上るのを、どうにかコントロールして、冷静さを維持する。氷の海に浮かんでいる潜水艦みたいな冷静さが欲しかった。

「それだけだ」犀川は、ポケットから新しい煙草を取り出した。「コーヒーが入ったよ、西之園君」

飲みたかったら自分で取りにいけば、という言葉が思い浮かんだけれど、彼女は聞こえないように小さく舌打ちをして、興奮と憤慨のエネルギィを利用して立ち上がった。

犀川を独占したいという彼女の強い思いが伝わってきます。

薄々感じていた四季による犀川へのアプローチが本人によって認められ、それを西之園に隠していたことにイラだっているのでしょう。

しかし犀川は西之園に隠していたのはとある人物にその事が伝わらないため、とおっしゃってます。

本作の終盤でその人物が儀同世津子の母親である祖父江七夏である事が示されています。

どうせだったら祖父江さんも出して欲しかったな、、結構好きなキャラなんだよな、、

イタリアでは西之園が四季と再開しました。

この四季は本物なのだろうか?ロボットという可能性も全然ある。。

そして驚くべき発言、、

「私の娘の父親が犀川先生だったら、どうする?」

これにはボクも西之園と同じように「え?」と声を出してしまいました。

でも流石にそれは無いと思います、単に西之園を試すような発言をしただけですね。

しかし、西之園を動揺させるには十分過ぎる、

そんな中犀川を独占するというのはどういうことなのかを考えます。

彼の何を欲しいのか、自分はどこにいて、何が自分の物なのか、

そんな西之園の葛藤が読み取れます。

その一方で保呂草と各務も似たようなテーマをほんの少しだけ話していました。

持って帰れなれば所有していることにならない派の各務と、

自分のものと思えば十分派の保呂草、

皆さんはどちらですか?

ボクは後者と言いたいところですが、前者の方ですね。

欲しいものは目の見える範囲に置いておきたいです。

許し

そして西之園が遂に瀬在丸紅子と対面するシーン。

ここめっちゃいいですよね、遂にこの2人が!って感じです。

西之園は犀川と四季に嫉妬している事、

犀川が犯罪者である四季や保呂草を見過ごしている事、

それを自分が許せない事を紅子に相談します。

すると紅子からなんとも深い言葉が、、

扇風機のように、前にしか風が来ないのなら、こちらを向いてくれないと困りますけれどね。たとえば、太陽はどう?メキシコが晴れていたら、その分、日本は損をしますか?

貴女が、太陽を好きになったか、扇風機を好きになったか、の差です。

私も若い頃に、ずいぶん、それで苦しみました。あの人が、扇風機みたいに首を振って、私の方だけを向いてくれない。でも、彼を扇風機にしたのは誰か……

結局は私の問題なの。私の認識だったのね。

それは、自分を許すということ。

人は、自分が許せないときに、悲しくて泣く、そして、自分が許せたときに、嬉しくて泣くの。

瀬在丸紅子

相手を太陽にする自分を許す、なるほどなぁ〜

紅子から西之園への愛情が感じとれます。

四季や保呂草などの犯罪者が犯したモラルは人が集団を保持するために形成されたエゴあり、一見不道徳に見えても、彼女達自身が築いたモラルはあながち間違っているわけでは無い。

それは基盤が自分自身にあるため当然他者からの許しを得る必要はなく、誰にも干渉できないこと。

簡単に言えば、自分が正しいと思っていれば他人からどう思われようと関係ない、って感じですね。

しかし、保呂草は自分自身さえも許していないとのことです。

どういうことなんだろう、、ストイックなのかな?

Fの真相

本作では四季によって5年前に妃真加島によって起きた事件の真相が明かされました。

それは、四季の娘である道流は実験中の事故で死亡し、おそらくそれは自分の意思でやった。

四季のように天才でなかった道流は、15歳になったら両親を殺すと教えられたものの、それが理解できなかったのでしょう。

四季はなぜ研究所を脱出したのか、

Fでは四季本人が自由へのイニシエーションであると述べていましたが、

本当は道流の細胞を持ち出し、クローンを作るため。

(蘇生するため、って書こうとしたけどそれはニュアンスが違うかな(^_^;)?)

そして細胞研究第一人者であるスワニィに接触し、計画を進めたわけですね。

どう思いますか?ボクはこのことから、四季の娘への愛情、母性を感じました。

クローンは倫理的な価値観で否定される意見も多いのですが、上で書いたように四季にはそんなモラル関係無いのです。

天才が母親になるとこうなるのですね。

再開

犀川(へっ君)と保呂草の再開は感動しましたね。

さすがの犀川も「本当に?」と驚いている様子。

保呂草も優しいですね、犀川のことを心配してイタリアに来るなんて、

保呂草は犀川のことを”友人”と言っていましたが、犀川は保呂草のことを”知り合い”と。

まぁVシリーズ時点ではまだ小学生でしたからね、ちょっとした謙遜があったのでしょうか。

にしてもこの2人が会話しているところを見れたのはめっちゃ嬉しかったです。

最後は握手してお別れ、こんな良い握手、滅多にありません。

あと保呂草が西之園の膝思い出してるの笑った、十字を切りたくなった、だっけ?

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