森博嗣『天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow?』

森博嗣 Wシリーズ

こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『天空の矢はどこへ?』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『天空の矢はどこへ?』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『天空の矢はどこへ?』はWシリーズの第9作目です。

登場人物

  • ハギリ・・・・・・研究者
  • ウグイ・・・・・・情報局員
  • アネバネ・・・・・情報局員
  • キガタ・・・・・・情報局員
  • モロビシ・・・・・情報局員
  • ヴォッシュ・・・・科学者
  • パティ・・・・・・助手
  • デボラ・・・・・・トランスファ
  • アミラ・・・・・・人工知能
  • オーロラ・・・・・人工知能
  • ペガサス・・・・・人工知能
  • カンナ・・・・・・人工知能
  • マガタ・・・・・・二世紀前の天才科学者、ウォーカロンの生みの親

あらすじ

カイロ発ホノルル行き。

エア・アフリカンの旅客機が、乗員客200名を乗せたまま消息を絶った。

乗客には、日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワの社長ほか開発者が多数含まれていた。

時を同じくして、九州のアソにあるイシカワの開発施設が、武力集団に占拠された。

膠着した事態を打開するため、情報局はウグイ、ハギリらを派遣する。

知性が追懐する忘却と回帰の物語。

内容

第1章 歩き回る Getting around

イシカワ社長が乗った旅客機が行方不明になる。

それと同時に、イシカワの工場と研究所でテロが発生。

タナカと共にアソに行く。

ホワイトの警備隊が突入するも、連絡は一切ない。

警察のロボットが有線のケーブルを引きながら突入。

第2章 通り抜ける Getting through

エア・アフリカンの機体が成層圏外で見つける。

研究所内で警察のロボット、ホワイトの警備隊が倒れているのを発見。

武力集団は見つからず、工場、研究室は解放される。

研究所を制御していたスーパ・コンピュータ、カンナと話す。

第3章 逃げていく Getting away

シェルタ内で活動していないオーガスタを発見。

ニュークリアに帰る。

サリノがアポロを目指し、宇宙へ行く。

第4章 乗り越える Getting over

サリノがチップを回収することに成功。

サリノを迎えにアソへ行く。

オーガスタからチップを回収。

キョートのクジ・マサヤマ博物館に行く。

メモ

  • テロは内部の犯行である可能性
  • 最初から武力集団からの連絡は一切ない
  • ロボットを内部に送り込むも、通信が途切れてしまい、戻ってこない
  • 内部には従業員が400名、生産されたウォーカロンが500~1000人
  • テロリスト側がトランスファを利用している可能性
  • 警察側にはペガサスが指揮を出している
  • 工場内でウォーカロン数人が倒れていた
  • 倒れている者はすでに死亡しているが、目立った外傷はない
  • 死因は全員窒息死
  • トランスファではなく、カンナが自演した可能性
  • シェルタ内で生存しているイシカワの警備ウォーカロンを発見
  • 彼らは気がついたらシェルタ内に閉じ込められていた
  • 日本からの宛先不明の大量のデータを衛星が受信
  • カンナが行方不明機にデータを送った可能性
  • カンナ本体が宇宙へ脱出した可能性
  • 違法行為を隠蔽するために、アポロにデータを送った可能性
  • 夢で見た黒いオイルはサリノが体験したことだと発覚
  • ポスト・インストール解除プログラムはカンナが作ったもの
  • イシカワで死亡したウォーカロンの1部にはチップがなかった
  • 人工知能は本来マルチな人格を有している

感想

本作の舞台は九州のアソと宇宙となっています。

これまでヨーロッパやアフリカ、北極に南極と様々な舞台がありましたが、とうとう宇宙まで進出したか、という感じでしたね。

タイトルにある「天空の矢」というのはおそらく、宇宙へ脱出した人工知能のカンナを表しているのでしょう。

前半のアソでの場面は正直に言うと、少し退屈に感じてしまいました。

なんだか突入した警備隊や、ウォーカロンの連絡待ちが長くて、くだってしまいましたね。

ハギリとタナカの会話がおもしろいのが救いでしたね笑

しかし、ニュークリアに帰ってきてからは、かなり集中して読むことができました。

特に、宇宙進出会議では波乱の展開でしたね。

自分がチップを取りに行くと言い張るウグイに反対するハギリ、さらに自分が行った方が成功する確率が高いと主張するサリノ。

一体チップには何が入っているのでしょうね。

可能性としては、ポストインストール解除プログラムに関するものや、イシカワが作り出したクローンのデータってとこですかね。

命をかけてまで取りに行くものだったのですかね、真相は謎のままです。

些細なことですが、前半でウグイがため息をつく描写が少し気になりました。

これまではそのような描写があまりなかったと思います。

おそらく、ポストが上がったのと、アソで情報局員を指揮する役目もあり、重責を感じているためでしょうか。

どう考えても大変な仕事ですよね、ボクなんかにはできないでしょう。

サリノにも今までとは違い、変化が見られましたね。

ポスト・インストールを解除し、人間になったことにより、感情を表す描写が多かったです。

まだ幼いのに命をかけて宇宙に行くシーンはヒヤヒヤさせられましたね。

よくがんばった!おじさん嬉しい!

帰還したサリノをウグイが抱き締めるシーン、泣けますよね。

口では銃の免許の書き換えよりも簡単な任務と言ってましたが、やはりウグイも心配してたのでしょうね。

抱き締めるのをウグイに取られて無言で握手をするハギリもなんだか微笑ましいです笑

サリノだけでなく、ハギリやウグイもどんどん人間性豊かになってますね。

クジ・マサヤマ博物館で見た、レゴの容器はS&Mシリーズ第1作目「すべてがFになる」と完全にリンクしてますね。

「すべてがFになる」で登場した真賀田四季改め、マガタ・シキが時代背景がかなり変わっているのにも関わらず登場する乗ってよくよく考えるとすごいですよね。

やはりマガタ・シキの存在が絶対的なものになってますね。

結局、どうすれば良いのか。

人も人工知能も、どんな道を選べば良いのだろう。

我々を導くような神はいるのか。

否、そうではない。

導きを求めることが、既に過去に囚われている。それは、発展途上のほんの僅かな期間の現象にすぎない。宗教というものは、単に短期的な流行だった。ファッションだったのだ。それらは、人間の肉体を基本としている。神が肉体を作った。そこに基盤があった。。

だが、土塊の肉体に神の息を吹き込んだように、今では、電子の流れ、そのアルゴリズムが生命活動の証となっている。我々は躰があるから生きているのではない。

であるならば、この信号の世界に、活路がある。

マガタ・シキ博士が考えた、共通思想は、おそらくはこの道を進むことを想定したものではないか。

ハギリ・ソーイ

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