森博嗣『有限と微小のパン THE PERFECT OUTSIDER』

森博嗣 S&Mシリーズ

こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『有限と微小のパン』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『有限と微小のパン』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『有限と微小のパン』はS&Mシリーズの第10作目です。

登場人物

  • 犀川創平・・・・・・・・N大学工学部・助教授
  • 西之園萌絵・・・・・・・N大学工学部・4年生
  • 国枝桃子・・・・・・・・N大学工学部・助手
  • 牧野洋子・・・・・・・・N大学工学部・4年生
  • 金子勇二・・・・・・・・N大学工学部・4年生
  • 反町愛・・・・・・・・・N大学医学部・4年生
  • 儀同世津子・・・・・・・雑誌記者
  • 塙理生哉・・・・・・・・ナノクラフト社長
  • 塙香奈芽・・・・・・・・理生哉の妹
  • 藤原博・・・・・・・・・副社長
  • 新庄久美子・・・・・・・秘書
  • 松本卓哉・・・・・・・・プログラマ
  • 島田文子・・・・・・・・プログラマ
  • 真賀田四季・・・・・・・天才プログラマ

あらすじ

日本最大のソフトメーカが経営するテーマパークを訪れた西之園萌絵と友人・牧野洋子、反町愛。

パークでは過去に「シードラゴンの事件」と呼ばれる死体消失事件があったという。

萌絵たちを待ち受ける新たな事件、そして謎。

核心に存在する、偉大な知性の正体は……。

S&Mシリーズの金字塔となる傑作長編。

感想

S&Mシリーズ最終作らしい圧巻のストーリーでした。

860ページに及ぶ内容でしたが、のめり込んでしまいあっという間に読了することができました。

章題のサブタイトルがすべてPanで始まっているところ、森博嗣さんらしいですね。

(Pandora’s box Pantheon Pandemoniumなど)

本作のサブタイトルである『THE PERFECT OUTSIDER』、第1作のサブタイトルである『THE PERFECT INSIDER』と対になっていて読者の好奇心をそそる形になっています。

第1作『すべてがFになる』で登場した天才、真賀田四季を再びお目にかかることができ、やはり彼女の圧倒的な力にボクも謎を深めるばかりでした。

本作も何回も読みましたが、正直彼女の話していることはあまり理解していないです。

四季と犀川の会話のレベルが高い且つ、ボクのレベルが低いせいですね、まだまだのようです。

本作のキーワードとなっていた「装飾」という言葉、最初に四季が西之園に会った時に言っていた言葉ですね。

現実と虚構、両者の本質的な違いは明確ではない。

VRに創られる装飾も、現実に造られる装飾も違っているようで本質は同じ。

道を歩いていても周りの装飾が相対的にスクロールされているにすぎない。

この世のすべてが装飾にすぎない。

うーん、言われてみればって感じですね。

自分は元から洋服の柄とか皿の上のレイアウトとかどうでもいいと思っている人間なので、装飾が無意味というのはなんか分かる気がする。

ボクは天才に会ったことは無いので分かりませんが、

周りのから天才と称されている塙社長でさえ、四季には及ばないあたりから彼女がどれだけ天才なのかがリアルになってきた感じがします。

ボクの中では、アインシュタインとかニュートンとかと同列できるようなイメージ。

善と悪、正と偽、明と暗。人は普通、これらの両極の概念の狭間にあって、自分の位置を探そうとします。自分の居場所は一つだと信じ、中庸を求め、妥協する。けれど、彼ら天才はそれをしない。両極に同時に存在することが可能だからです。

塙理生哉

言っている意味は分かりますけど、分からないですよね。

凡人のボクからしたら、両極に同時に存在する?どうやって?って感じです。

本作を読むかぎり、四季だけでなく彼女とまともに会話を成立させている犀川も天才と思わせてくれます。

西之園が置いてけぼりになっているあたりからも2人の天才さがいっそうリアルになっていますね。

四季が犀川に会いたいがためだけにあれほど壮大な脚本を作り上げるあたり、

最強の乙女心ですね笑

それにしてもダークルームの空間拡張はすごいと思いました。

やはり森博嗣は天才かよ!

理論上で言えば拡張性は無限になりますね、それぞれの部屋の機能さえもVRで再現してしまえば、それはもう現実と言っても良いのではないでしょうか。

いつか肉体がエネルギィを摂取するだけの器になる日も近いのかもしれないですね。

犯人が想定していなかった医学部の反町愛の存在により被害者が増えてしまいましたね。

(反町愛が悪いわけではありませんが、、)

個人的には反町愛のキャラがとても気にいっています。

男勝りな話し方、男性の前だと女性になるあたり、西之園にちょっかいを出すあたりなど読んでいて笑ってしまうような場面が何度もありました。

語尾が〜なりとなっている場面もあって小鳥遊練無を彷彿とさせますね。

西之園と牧野と反町の会話のおかげで、本作を楽しく読み進めることができました。(感謝)

肝心の四季ですが『すべてがFになる』のときよりも人間味を感じますね。

本人も作中で行っていましたね、

「私、最近、いろいろな矛盾を受け入れていますのよ。不思議なくらい、これが素敵なのです。宇宙の起源のように、これが綺麗なの。」

矛盾を受け入れることが人間に近づくことなのですかね、きっとそうなのでしょう!

人間味を帯びていく彼女は、0と1を繰り返すように、クリスマスツリーのランプが点滅するように、綺麗なのでしょう。

そんな彼女がみる景色も相対的に同じことが言えますね。

煙草が吸えるか、吸えないかの違い。

それくらいしか、

現実と虚構の差はないのかもしれない。

最初に、彼女に会った場所も、煙草が吸えなかった。

それくらい、僅かな違いなのだ。

そんな僅かなものに、我々は怯え、

そんな微小なものに、我々は生と死を分ける。

有限の生と、微小の死を。

部屋の片隅に転がっていたものに気づき、犀川は、それを拾い上げた。

一口だけかじられた、小さなパンだった。

犀川創平

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