森博嗣『赤緑黒白 Red Green Black and White』

森博嗣 Vシリーズ

こんにちは、はっこんです。

今回の記事では森博嗣さんの『赤緑黒白』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

※本記事は『赤緑黒白』を読まれた方に向けて書いたものです

※以降ネタバレを含みます、ご注意ください

『赤緑黒白』はVシリーズの第10作目です。

登場人物

  • 保呂草潤平・・・・・・・探偵、便利屋
  • 瀬在丸紅子・・・・・・・自称科学者
  • 小鳥遊練無・・・・・・・大学生
  • 香具山紫子・・・・・・・大学生
  • 林・・・・・・・・・・・愛知県警刑事
  • 祖父江七夏・・・・・・・愛知県警刑事
  • 各務亜樹良・・・・・・・ジャーナリスト
  • 帆山美澪・・・・・・・・作家
  • 室生真弓・・・・・・・・帆山の秘書
  • 佐織宗尊・・・・・・・・MNIの総志
  • 赤井寛・・・・・・・・・計理士
  • 田口緑・・・・・・・・・赤井の友人
  • 秋野秀和・・・・・・・・殺人犯

あらすじ

鮮やかな赤に塗装された死体が、深夜マンションの駐車場で発見された。

死んでいた男は、赤井。

彼の恋人だったという女性が「犯人が誰かは、わかっている。それを証明して欲しい」と保呂草に依頼する。

そして発生した第二の事件では、死者は緑色に塗られていた。

シリーズ完結編にして、新たなる始動を告げる傑作。

感想

ついにVシリーズ完結しました。

最終作らしい、素晴らしい作品でした。

本作は森博嗣ファンにとって、衝撃的な事実が多く判明し、かなり記憶に残る1冊になったと思います。

読み始めの登場人物で秋野秀和の名に気付き、驚きました。

秋野秀和と言えば、第1作「黒猫の三角」に登場した連続殺人犯です。

紅子により、犯行が暴かれ、囚われの身となりましたが、まさかここで出てくるとは、、、

S&Mシリーズでは第1作目で出てきた天才、真賀田四季が最終作で登場しました。

第8作目で時系列が飛ぶのと同様に、第1作目と最終作である第10作目をリンクさせるのはお約束なのでしょう。

紅子と秋野の牢獄での会話がなんだか聖域のようでした。

秋野の予測できない発言に珍しく動揺している紅子が新鮮。

秋野に会ったことによって欠けていた寂しさを思い出した。

ここらへんはよくわかりませんでした、また再読する必要がありそう。

人間の人格、人間の自由、人間の尊厳、人間の欲望、

いろいろなものが、たった一本のキーで封じ込められている。

否、そうではない。そもそも、初めから、すべてが封じ込まれているのだ。

人の躰の中に、そして、人の社会の中に。

個の人格、個の自由、個の尊厳、そして個の欲望、それらすべてが封じ込められている。

人の形の殻の中に、そして、人々が手をつなぐ、その鎖の内側に。

秋野秀和が実行したものは、その殻を破壊することだった。

その鎖を断ち切ることだった。破壊した彼は、それらを獲得しただろうか。

人格と、自由と、尊厳と、欲望を。その証こそが、一本のキー。

あのキーで封じ込められているのは、実はこちら側。

彼以外のすべて、社会のすべてが、秋野の築いた牢獄に入れられているのかもしれない。

瀬在丸紅子

1章ずつ増えていく色付きの死体、最初は何故死体に色を塗るのかと考える方に頭がいってしまったけど、その時点で犯人の思うつぼだった。

これといった動機など特になく単に殺したいから殺した、猟奇殺人として扱われることによって、さらに動機を見えづらくする。

秋野秀和と同じです。

意味のあるように思われたゾロ目もペインタも、ただ綺麗に死体を彩るルールにすぎない、美しいものを造りたかっただけのこと。

しかもどちらも被害者は4人、似すぎます。

両者とも、被害者のうち、最初の2人までは純粋な欲望だが、後の2人は単なる惰性のようなものだったと解釈されています。

その最後まで完成させたいというこだわり故に、規則性に気付きやすくなってしまった。

やはり秋野秀和、室内真弓の天才ゆえの共通点なのでしょう。

そして両者とも、同じ天才である紅子によって理解され暴かれました。

単なる冴えない秘書として、影として、行動していた室生真弓が実は帆山美澪であり、帆山美澪という影武者人形を操っていたことにまったく気づかなかった。

最後の銃撃戦では刑事達がとにかくたくましかった。

撃たれる立松、祖父江七夏の突撃に渋る林、

「行かせてもらえないのは、私が、女だからですか?それとも、、林さんの、、、」

この言葉に祖父江七夏の覚悟が感じられます。

1人の刑事として認めてもらいたいという強い思いが伝わりました。

刑事達の刑事としての意地がかなり強く感じられ、とても緊迫する名シーンでした。

一方の美術館盗難事件では紅子によって保呂草の犯行が阻止されました。

紅子が警察に協力したのは、林の前の部署を知ったから?

保呂草の窃盗手順もかなり詳しく知ることができて、おもしろかった。

コソコソと忍び込むのではなく、身分を装って白昼堂々と盗むのが保呂草流なのか。

しかも、綿密に練られた計画に則って実行されている。

紅子以外に彼の犯行を止めることは不可能では?と思わせられるほどに。

そして阿漕荘を去る保呂草、寂しいですね。

これからは各務亜樹良と行動をともにするのかな?

そして、本作最大の衝撃はやはり、へっ君でしょう。

林が無言亭に置いて行った祝儀袋に書いてある名前、?川 林。

ここで実は”林”が下の名であることが分かります。

読者はおろか、阿漕荘のメンバでさえ”林”が苗字だと思っていたはずです。

そして彼の苗字が犀川であることが判明するのですね。

どういうことかと言うと、へっ君=犀川創平だということです。

まさに此の親あって此の子あり、S&Mシリーズで見せる犀川創平の推理力は紅子に由来するものだということが判明しました。

まさか幼少期の犀川をこんなところでお目にかかれるとは笑

てことは世津子の母親は祖父江七夏ということになるのか。

ラストでは忍び寄る真賀田四季の影が見られます。

四季と紅子が対峙するシーンは四季シリーズでも描かれています。

それにしてもVシリーズ最高だった、、

恒例になっているプロローグの保呂草語りや、練無や紫子の会話、紅子と七夏の言い合いも見れないのですね。

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