こんにちは、はっこんです。
今回の記事では森博嗣さんの『六人の超音波科学者』を読んだ感想を書いていきたいと思います。
※本記事は『六人の超音波科学者』を読まれた方に向けて書いたものです
※以降ネタバレを含みます、ご注意ください
『六人の超音波科学者』はVシリーズの第7作目です。
登場人物
- 保呂草潤平・・・・・・・探偵、便利屋
- 瀬在丸紅子・・・・・・・自称科学者
- 小鳥遊練無・・・・・・・大学生
- 香具山紫子・・・・・・・大学生
- 林・・・・・・・・・・・愛知県警刑事
- 祖父江七夏・・・・・・・愛知県警刑事
- 土井忠雄・・・・・・・・科学者
- ジョージ・レンドル・・・科学者
- 宮下宏昌・・・・・・・・科学者
- スコット・ファラディ・・科学者
- 園山由香・・・・・・・・科学者
- 雷田貴・・・・・・・・・科学者
あらすじ
土井超音波研究所、山中深くに位置し橋によってのみ外界と接する、隔絶された場所。
所内で開かれたパーティに紅子と阿漕荘の面々が出席中、死体が発見される。
爆破予告を警察に送った何者かは橋を爆破、現場は完全な陸の孤島と化す。
真相究明に乗り出す紅子の怜悧な論理。
美しいロジック溢れる推理長編。
感想
本作はなんだか他の作品よりもグロテスクであったり、少し闇深な内容でしたね。
建物がかなり複雑で、何度もプロローグ前にある建物の図面を確認してしまいました。
図面を書いてくれるあたり、珍しく優しいですね笑
トリックはなんだかシンプルな感じですね。
首無し死体が出てきた時点でこの死体は本当に土井博士のものなのか?と疑いました。
トリックよりも、登場人物たちの会話や行動み魅力を感じましたね。
練無が殺されそうになって珍しく怒りをあらわにする紅子さん、カッコよかったですね。
本作では珍しく紅子の弱みを描写しているシーンがあるのでそこは注目すべきでしょう。
練無が殺されかけるのはさすがに焦りました笑
かなり主要なキャラですからね、それに好きなキャラの1人でもあるし、、
それにしてもN大医学部なだけはあります、やはり頭がキレますね。
紅子や保呂草に気を取られがちですが、彼も相当なものです。
練無が一命を取り留めて、泣きそうになりながらも安堵する紫子に感情移入してしまいました。
保呂草も珍しく走り回ってましたね。
保呂草が怪しい仕事で身に付けた技術が本作ではかなり役立ちましたね笑
「鍵なんて、どこに付いていたって、ただの鍵」
本作でのMVPは祖父江七夏でしょう。異論は認めません。
1人で1時間も歩いてクタクタのはずなのに一切休まずに、働いてくれましたね。
紅子も言っていたことですが、刑事である祖父江七夏が現場に居合わせたことは犯人達とって大誤算であり、莫大なプレッシャーになっていたことでしょう。
さすがのヤバさに紅子と協力するシーンや、笑ってしまうようなシーンもありました。
「決めてしまわれたら、たぶん、どちらかが泣くことになるわ。まぁ、だけど、泣いた方がせいせいして、かえって良いことってのも、あるか。でも私は泣きたくない。」
エピローグでは保呂草の語りで幕を閉じました。
やっぱ小説の終わりの部分ってかなり大事ですね。
読者にとってはそれだけで後味が変わってしまいます。
引き出しの中にも礼儀あり
善とは何か、悪とは何か。人が持っているメータは、どこで針が振れるのだろう?
善を貫くために悪が生じ、悪を崩すために、さらに強い悪が生じる。
つまりは、どこからも善は生じない。
善は、人から生まれたもの。その最初の一瞬の状態なのだ。
結局のところ、死を恐れることと、生を求めることの、僅かな差ではないか。
その細い隙間にできた道を、我々は歩くしかない。
それが、人がどうにか生きていける細い道。
だからこそ、死は、我々とともにあり、死は、我々とともにない。
それなのに、人は、いつも必死になって、ときには命に替えても、
自分の生命以外のものを、祈り、願う。
人間には、それができる。
保呂草潤平
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