こんにちは、はっこんです。
今回の記事では森博嗣さんの『笑わない数学者』を読んだ感想を書いていきたいと思います。
※本記事は『笑わない数学者』を読まれた方に向けて書いたものです
※以降ネタバレを含みます、ご注意ください
『笑わない数学者』はS&Mシリーズの第3作目です。
登場人物
- 犀川創平・・・・・・・・建築学科助教授
- 西之園萌絵・・・・・・・建築学科2年生
- 天王寺翔蔵・・・・・・・天才数学者
- 天王寺宗太郎・・・・・・翔蔵の長男、作家
- 天王寺律子・・・・・・・宗太郎の妻
- 天王寺俊一・・・・・・・宗太郎の長男
- 片山基生・・・・・・・・建築家
- 片山亮子・・・・・・・・翔蔵の長女
- 片山志保・・・・・・・・亮子の長女
- 片山和樹・・・・・・・・亮子の長男
- 鈴木彰・・・・・・・・・天王寺家の使用人
- 鈴木君枝・・・・・・・・彰の妻、家政婦
- 鈴木昇・・・・・・・・・君枝の長男
あらすじ
偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。
そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。
一夜あけて、再びオリオン像が現れたとき、2つの死体が発見され……。
犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。
超絶の森ミステリィ第3弾。
感想
本作の舞台は前作「冷たい密室と博士達」と同じ年のクリスマスの三ツ星館となっています。
太古の家とも呼ばれるオリオン座をモチーフに設計された三ツ星館が本作の鍵を握っていると言えるでしょう。
内側と外側が逆になっており、哲学的な雰囲気を醸し出す建設物。
実は殺人のトリックはなんとなくわかったんですよね。
というのも、最初からオリオン像の向きに違和感を感じ、しかも三ツ星館が点対象になっているあたりから、おそらくプラネタリウムのホール自体が回転しているのだろうなと気づくことができました。
もちろん読者は客観的に物事を把握することができるので、特にすごいことではないですが、自分の考えが正しかったと分かったときは嬉しかった笑
天王寺翔蔵はザ・数学者のような風貌でとても魅力的だった。
ボクのイメージでは内田裕也さんみたいな感じ。
白髪の長髪ってかっこいいですよね。
ボクも歳をとったらそんな感じにしてみたいですが、おそらく髪が残っていないだろうな、、、
物語が進むにつれて天王寺家の家系図が変化していくので理解が大変だった。
最初はこんな感じ。

最終的にはこんな感じ。

かなり複雑ですよね、もしかしたら間違っているかもしれません。
しかも地下室にいた老人が天王寺翔蔵ではなく宗太郎、片山基生のどちらかの可能性を持たせたまま物語を終えました。
うーん結局誰なんでしょうね、、
律子を憎んでいた宗太郎だとしたら昇に律子を殺すようしむけたのも納得できますね。
しかし、宗太郎が死んだショックで昇が律子に殺意をもったということも納得できます。
天王寺翔蔵と対面し、ガッカリしてしまう犀川を考慮すると天王寺翔蔵本人ではない?
想像は読者に任せるといった感じですね。
ひょっとして犯行トリックよりもメインはこっち?
タイトルの意味もこちら側に絡んでそう。
ボクの結論としては、犀川と老人の2回の対面で、どちらも老人が笑ったことから、
森の中で発見された白骨死体が天王寺翔蔵本人。
1回目の対面の時に老人が”言葉”というものについて言及していたのが作家っぽいことから、地下室にいた老人は天王寺宗太郎。
ラストの老人は消去法から片山基生という考えに至りました。
犀川と対面した老人は普通に話せばいいものをあえて理屈っぽく話しているようだが、中途半端な感じがして、あまり天才のように感じなかった。
最後の公園での回想にでてきた老人は天王寺翔蔵本人でしょう。
笑っているけど地下室の老人のように天才を繕っているように感じませんでした。
「ねぇ、どちらが中なの?」少女がもう一度聞く。
お爺さんは帽子を拾い上げてから、少女に言った。
「君が決めるんだ」
ちなみにビリヤード玉の問題、なかなか難しかったです。
解くのに30分かかりました。
問題は、5つのビリヤード玉を真珠のネックレスのように、リングにつなげる。
玉には、それぞれの数字が書かれている。
この5つの玉のうち、いくつ取っても良いが隣りどうし連続したものしか取れない。
この条件で取った玉の数字を足し合わせて、1から21まですべての数ができるようにするにはどの玉をどのように並べれば良いか。

こんな感じですね。
1と2は必ず入るので3を入れるか入れないかで難しくなってしまいます。
ボクは適当に作りまくって辿りつきました。
犀川と西之園の会話はいつも通りの面白さですね。
「何を考えていらっしゃったの?先生」
「そうね……。やっぱりオリオン像のことかな……。西之園君は?」
「そうね。先生のことかな……」
犀川をからかうのおもしろい笑
犀川の授業の成績評価方法がなかなか珍しくておもしろかった。
相変わらず無茶する西之園には毎回ヒヤヒヤさせられる。
負けるな犀川!
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