こんにちは、はっこんです。
今回の記事では森博嗣さんの『魔剣天翔』を読んだ感想を書いていきたいと思います。
※本記事は『魔剣天翔』を読まれた方に向けて書いたものです
※以降ネタバレを含みます、ご注意ください
『魔剣天翔』はVシリーズの第5作目です。
登場人物
- 保呂草潤平・・・・探偵、便利屋
- 瀬在丸紅子・・・・自称科学者
- 小鳥遊練無・・・・大学生
- 香具山紫子・・・・大学生
- 林・・・・・・・・愛知県警刑事
- 祖父江七夏・・・・愛知県警刑事
- 各務亜樹良・・・・ジャーナリスト
- 関根朔太・・・・・画家
- 関根杏奈・・・・・パイロット
- 西崎勇輝・・・・・パイロット、チームリーダ
- 西崎翔平・・・・・パイロット
- 布施健・・・・・・パイロット
あらすじ
アクロバット飛行中の二人乗り航空機。
高空に浮かぶその完全密室で起こった殺人。
エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣をめぐって、会場を訪れた保呂草と無料招待券につられた阿漕荘の面々は不可思議な事件に巻き込まれてしまう。
悲劇の宝剣と最高難度の密室トリックの謎を瀬在丸紅子が鮮やかに解き明かす!
感想
プロローグでは保呂草が「美」について語っていました。
「美」とは何らかの目的を目指し、そこへ収斂する曲線群であり、目的を成し遂げるためには不必要な部分を潔く切り捨てる。
そんな冷たく固い意思を感じさせるものである。
それは人工的なものであり、行動と思考を伴う人の行為に向けられる評価である。
う〜ん、かっこいいですね。
ボクも女性の「美人」と「かわいい」の違いについて考えたことがあります。
ボクが思うに、「美人」とは欠点がない、非の打ちどころのない人を指すことであり、
「かわいい」とは欠点すらも魅力に感じさせることだと結論づけました。
わかりやすく言えば「美人」は佐々木希、石原さとみのような人を指し、
「かわいい」は、最近のボク個人の思いとしては女子アナウンサーの磯貝さんですかね。
そんなことを考えたことがあります。
実は「魔剣天翔」は数えられないくらい読んだことがあります。
今更ですがこのブログでの感想は先入観を捨て、初めて読んだ程で書いています。(変ですよね笑)
ボクがこの作品が大好きなのは、なんといっても各務亜樹良の初登場作品だからです。
つまり各務亜樹良が好きなんですね。
表ではジャーナリストとして活躍し、裏社会にどっぷり使っている感じが最高にクールですよね。
そのクールな雰囲気は初登場のシーンから漂っていました。
各務亜樹良が実は女性であることに、さすがの保呂草も驚きが顔に出てしましましたね。
保呂草っていつも驚きながらも表には出さないようにしている描写が多いですね。
「裏口のない店には、なるべく入らない方が良い」
と各務亜樹良が保呂草に忠告した時に、
かまくらとかのことかなぁ〜とか思ってたら保呂草が
「かまくらとか入れませんね」
と答え、ボクと保呂草が多少シンクロしてて嬉しかった笑
作中では保呂草と各務の逃避行が多く、各務亜樹良の素性がだんだんと知れてきますね。
殺人のトリックも結構おもしろかったです。
まとめるとこんな感じですね。
トリック
- 2番機の後部座席で操縦していると思われていた西崎勇輝は実は3番機の前部座席に乗っていた
- 3番機の後部座席で操縦している布施が西崎勇輝を後ろから射殺
- 2番機の後部座席で操縦している西崎翔平は死んだふり
- 事故を装い、2番機と3番機を墜落させ、2番機の前部座席に乗っていた各務亜樹良が疑われる形に
- それに気づいた関根杏奈が復讐としてホテルで布施を射殺
実は関根杏奈は関根朔太の娘ではなく、西崎勇輝の娘であるために、復讐を実行すると言う感じですね。
結局紅子が悉く事件を解決し、保呂草と各務への疑いを晴らすわけですね。
そう言えば保呂草が最初に出した脅迫文、各務亜樹良の名が入っているようですがまったくわかりませんでした。
諦めてネットで検索すると、行の最後の文字を五十音順に一つずらすと「かがみあきら」になるようですね。
天才か。
1番印象に残っているシーンとしては保呂草が関根朔太に会うとこですね。
関根朔太はすでに死んでおり、彼の妻が関根朔太として、絵を描き続けている。
彼女が天才であった故に、関根朔太の天才を見抜き、受け継ぐことができた。
そんな奇跡を聞かされた際の保呂草の思考の乱れが、かなりリアルに表現されていて、素晴らしかったです。
また新しい天才が出てきましたね笑
ラストでは関根杏奈が練無に別れを告げ立ち去るシーンがありました。
珍しく練無が声を上げて泣く描写では悲しさがひしひしと伝わってきました。
そんなとき、保呂草は、
静かな夜だ。
静かな夜は、いつだって誰かを泣かせている。
そんなかっこいいセリフ、ボクもいつか言うてみたいものですね笑
魔剣を取り戻した老人は満足しただろうか。
おそらくそうだ。それで、心置きなくあの世へ旅立てる。
死ぬために、人は満足しようとするのだから。
彼の娘は、今でも日本で絵を描いている。
絵を描き続ける天才は、何を考えたのか。
師であり、夫である男に、彼女は秘宝を捧げた。だから、それは墓に埋められた。そうすることで、彼女の中で、魔剣は役目を終えたのだ。まったく同様に、彼女の娘もまた、父親の元へ返され、彼女の中で、安らかに役目を終えた。そうに違いない。
保呂草潤平
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