こんにちは、はっこんです。
今回の記事では森博嗣さんの『魔法の色を知っているか?』を読んだ感想を書いていきたいと思います。
※本記事は『魔法の色を知っているか?』を読まれた方に向けて書いたものです
※以降ネタバレを含みます、ご注意ください
『魔法の色を知っているか?』はWシリーズの第2作目です。
登場人物
- ハギリ・・・・研究者
- ウグイ・・・・情報局員
- アネバネ・・・情報局員
- シモダ・・・・情報局長
- ツェリン・・・研究者
- テンジン・・・知事
- ヴォッシュ・・科学者
- カンマパ・・・区長
- マガタ・・・・二世紀前の天才科学者、ウォーカロンの生みの親
あらすじ
チベット、ナクチュ。
外界から隔離された特別移住区。
ハギリは「人工生体技術に関するシンポジウム」に出席するため、警護のウグイとアネバネと共にチベットを訪れ、その地では今も人間の子供が生まれていることを知る。
生殖による人口増加が、限りなくゼロになった今、なぜ彼らは人を産むことができるのか?
圧倒的な未来ビジョンに高揚する、知性が紡ぐ生命の物語。
内容
第1章 一連の問題 Sequence of matters
- ウグイ、アネバネとともにチベットに
- ツェリンとのディスカッション
- シンポジウム開会式に出席
第2章 一連の危険 Sequence of crises
- パーティ中に会場の近くで軍事衝突が発生し、避難する
- テンジンから謎の言葉を伝えられる
- 兵士に尋問されそうになるもウグイ、女装したアネバネが兵士を排除し逃れる
- 貨物用トラックに忍び込み会場から脱出
- ヴォッシュと偶然出会う
第3章 一連の生命 Sequence of lives
- ヴォッシュとのディスカッション
- ナクチュ特区内に入り、ホテルで再びヴォッシュとマガタ・シキについてディスカッション
- ドローンでナクチュ内を観察
- 政府が反乱軍に攻撃を開始し、避難
- ナクチュの区長カンマパに会う
- 反乱軍が無理やりナクチュ内に侵入
第4章 一連の伝承 Sequence of legend
- 反乱軍に捕らえられる
- リーダー格の男(ウォーカロン)にテンジンから伝えられた謎の言葉の答え(ウォーカロンの安全装置)を告げ、反乱軍がフリーズ状態になる
- スケジュールを多少変更し、シンポジウムを開催
メモ
- 今ではウォーカロンでさえ、機械ではない
- メカニカルなウォーカロンを「生きていないウォーカロン」、人工細胞が大半のウォーカロンを「生きたウォーカロン」と区別する
- 人工細胞を取り入れていない子供をウォーカロンメーカーが買っている
- 上下関係的にウグイはアネバネよりも上っぽい
- ヴォッシュは160歳以上であり、物理学と生物学の2つの分野に跨がる膨大な功績を残している
- ヴォッシュは140年まえにマガタ・シキに会っている
- ナクチュ内には黒人や白人など、様々な人種がいる
- ナクチュには工業製品を生産する能力はなく、それらは外部から入り、その交換としてエネルギィを売る
- 神殿の中には魔物がいると言われている
感想
やはりWシリーズは内容が複雑なので書き留めておいた方が良いと実感しました。
本作からは主人公ハギリの護衛としてウグイの他にアネバネが追加されました。
森博嗣さんの作品の中ではGシリーズに登場する海月くんと肩を並べるくらいの無口なキャラなのではないでしょうか。
性別すらも分からないという謎キャラ、しかし戦闘力はウグイ以上のようですね。
アネバネが加わったことにより、前作よりも過激なシーンが増えたと思います。
最後の方にはハギリにせがまれて、手に格納されている隠し武器を見してくれましたね。
おそらく身体中に隠し武器があるのでしょう。(手品とかうまそう)
それらを使って目にも映らない速さで敵を排除するのでしょうね。
さて、本作では世界的権威の科学者である、ハンス・ヴォッシュ博士やツェリン博士が登場しました。
ヴォッシュ博士に至っては、なんと年齢は160歳以上、、、
人工細胞を体内に取り入れ延命した人間の中でも年上の方でフロンティア的な世代になるようですね。
ハギリとヴォッシュ、ツェリンの会話はとても魅力的でした。
ヴォッシュ博士はハギリと同じようにマガタ博士とあったことがあるんですね。
そして同じように謎の言葉を残して去っていく、、
ヴォッシュとハギリがこのような状況になることをマガタ博士を計算していたのでしょうか。
ありえないかもしれませんがマガタ博士ならありえますね。
ちなみにナクチュは百年シリーズ時点のルナティックシティですね。
百年シリーズの時点でウォーカロンはすでに登場していたのでやはり繋がっていましたね。
時代背景的にはもっとも古いのはVシリーズですね。
各シリーズ間で巧妙にバトンが渡されていくことを知るたびに興奮してしまいます。
作中ではハギリがナクチュに住む人々を見て驚いている描写があります。
ナクチュに住む人々は時間が止まっている、要するに今の僕達の生活となんら変わりないですね。
おそらくテレビ越しに昔の生活を見て驚くのと同じなんでしょうね。
ただ、ボク達が驚かす側になったということなのでしょう。
エピローグでは神殿の中でハギリとマガタ博士が再会しましたね。
前回とは違って相手がマガタ博士と認識しているのでハギリの思考がかなり乱れていますね。
やはり前作の記事でも書きましたが、この2人の会話を眺めていると真賀田四季と犀川創平の会話を思い出しますね。
ハギリ・ソーイと犀川創平って似てますよねぇ、、、
ボクは小説の終わり方をよく気にする人間なのですが、本作品の最後の文はかなり良かったです。
ぼんやりしていた頭が、急に晴れるようにすっきりした。
えっと、一つまえのウグイの質問は?
何があったのですか?
何があった?
なにもなかったのか?
そうではない。
なにもかもが、あったのだ。
ハギリ・ソーイ
コメント
[…] 第2作目の『魔法の色を知っているか?』ではヴォッシュがマガタ・シキの業績について語っていました。 […]